第35回「不思議な味わい」

戸田:

有川さん、今日もよろしくお願いいたします。

有川:

よろしくお願いします。

戸田:

今日はどんなお話ですか。

有川:

東燃ゼネラル(現・ENEOSホールディングス)が毎年、児童文化と音楽(邦楽・洋楽)に賞をだしています。

戸田:

ええ。

有川:

2018年度の音楽賞を作曲家の池辺晋一郎さんが受賞されました。池辺さんのファンだったので受賞パーティーに行ってきました。池辺さんはNHK教育テレビの『N響アワー』に檀ふみさんとともに長く出演し、いつも話の合間合間にだじゃれをはさみ、実に軽妙洒脱な進行で楽しみにしていました。池辺さんのだじゃれをきいていると思い出すのが映画『アマデウス』。劇中モーツアルトもいつもふざけたことを言ったり、したり。曲を創るうえで、ある種の共通性があるような気がしていました。だじゃれを言うには、物ごとをある程度離して、また色々な角度からみる必要がある。そのために自分の心や気持ちをいつもフワフワと軽やかな状態にしておく。そんな心持ちでいると、だじゃれは自然とでてくるものではないでしょうか(笑)。

戸田:

(笑)。
音楽賞洋楽部門本賞 歴代受賞者リスト|児童文化賞・音楽賞|ENEOSホールディングス
ENEOSホールディングスの音楽賞洋楽部門本賞 歴代受賞者リストをご案内します。
有川:

池辺さんのだじゃれが、ものすごいんです。
ラジオでだじゃれの達人という人が3〜4人で出た時も、池辺さんはだじゃれ連発で圧倒的なおもしろさ。
絵本館に『だじゃれ絵本』(だじゃれ・中川ひろたか/ 絵・高畠純)があるので池辺さんにお送りしたら、お返事をくださったんです。
「だじゃれ絵本をたくさんお送りくださりありがとうございました。普段僕は“シャレは耳の遊び”と言っているので文章にしないのですが、絵がつくと不思議な味わいがあるものと感じ入りました」と、お葉書をいただきました。
これは絵本論の核心でもあります。つまり、文章だけだと「なんだろう、なんでもないな」という文に絵がつくと「ああ、そういうことか」と頭が動き出す。そこに絵本の醍醐味が潜んでいるのだと思います。

戸田:

なるほど。

有川:

多くの人は「子どもは文章をよく理解できないから、絵で補足して理解をたすけてあげないと」と思ってるんですが、それは大きな勘違いかもしれません。
赤ちゃんも含めて子どもたちは、わからないことだらけの中で生きている。ということは、わからないから不安にはならない。不安になっていたら、赤ちゃんをやっていられません。反対に大人になるにしたがい、わからないことがあると不安になる。子どもはわからないを意に介さず、大人はわからないと不安になる。そう考えると子どもに対する見方、絵本のあり方がまるで違ったものになってしまう。子どもはわからなくても平気、それなら絵本では少しぐらいわからないことを提示しても大丈夫ということになる。

戸田:

ええ。

有川:

絵を使えるということは、日本人に限らず、どこの国の人でも、ある程度見当がつきますでしょう。そこが絵本の長所、強味です。
『だじゃれ絵本』の絵を描いた高畠純さんがイギリスに行った。そこで高畠さんの『おとうさんのえほん』という絵本を読んだら、イギリスの約400人ほどの子ども達に大受けだったそうです。絵が伝える情報はすごいですね。赤ちゃんも大人も、日本人も外国の人でも関係ありません。

戸田:

(笑)。


高畠純『おとうさんのえほん』

有川:

「その時の映像があったら観たかったなあ」と高畠さんに言ったんです。

戸田:

本当ですねえ、観たかったです。
やはり「絵本のちから」というものを感じますね(笑)。

有川:

そうなんです。絵本を読んだ子どもも大人も楽しく元気になってくれるというのが、絵本を出版していて一番うれしいことです。

戸田:

本当にそうですね。

有川:

高畠さんの『おとうさんのえほん』も、みなさんぜひ手にとってみてください。傑作です。イギリスの子どもたちが喜ぶわけです。目のなかの黒い点をどこにうつか、それだけで動物の表情が変わります。

戸田:

確かにそうですね!
高畠純さんの『おとうさんのえほん』、いろんな動物のおとうさんと子どもが出てきます。『おとうさんのえほん その2』もありますので2冊あわせてお楽しみいただければと思います。
また、先ほどのだじゃれ絵本シリーズもあります。
『だじゃれどうぶつえん』『だじゃれすいぞくかん』『だじゃれしょくぶつえん』『だじゃれレストラン』、『だじゃれオリンピック』の5冊です。
そして、この番組でもおなじみの福山出身の絵本作家おおなり修司さんの人気シリーズ『なぞなぞはじまるよ』も高畠純さんの絵です。とっても楽しいのでお手にとってみてください。
有川さん、今日もありがとうございました。来月のお話も楽しみにしています。

有川:

こちらこそ来月もよろしく。

戸田:

さて、リスナーのノラクロさんがお手紙をくださっています。
「雅恵さん、絵本館さんの福袋ありがとうございました。とてもビックリしてうれしくて、そして心がウキウキして楽しくなりました。翌日は誕生日だったので、とっても素敵な誕生日プレゼントになりましたよ。娘が幼い頃は絵本がとても身近なものでしたが、いつのまにか離れていました。でも番組でご紹介くださった絵本を読むうちに、どんどん世界が開けてきたんです。“絵本のちから”って、本当に素晴らしいですね。一冊の絵本が出来るまでに関わっているたくさんの人たちの思いも一緒にじっくりゆっくり味わっていきたいなって思っています」
ノラクロさん、とってもうれしいお手紙をありがとうございました。これからも一緒に絵本の素敵な世界を楽しんでくださいね。
(2019.2.12 放送)
2016年4月からエフエムふくやま「ブック・アンソロジー」に月1回、第2火曜日に出演しております。
インタビュアーは、パーソナリティの戸田雅恵さん。
番組の内容を定期的に掲載していきます。なお、ラジオインタビューですので、その時はじめて聴く人もいます。同じような話が2度3度出てくることがあります。ご了承ください。
おとうさんのえほん
高畠純・作 いろんな動物のおとうさんが登場!
おとうさんのえほん その2
高畠純・作 この絵本の中のおとうさん達は、思わず噴き出しちゃいます。
だじゃれどうぶつえん
中川ひろたか・文/高畠 純・絵 吹き出すだじゃれと、ことばを大きくふくらませる絵がお見事!
だじゃれすいぞくかん
中川ひろたか・文/高畠純・絵 どのページを開いても笑いがいっぱい。
だじゃれレストラン
中川ひろたか・文/高畠純・絵 お腹も、心も笑顔でいっぱい!
だじゃれしょくぶつえん
中川ひろたか・文/高畠 純・絵 こんな肩の力をぬいた楽しみ方って本当にいいな。
だじゃれオリンピック
中川ひろたか・文/高畠純・絵 いつでもページを開けば、そこがオリンピック会場!
なぞなぞはじまるよ
おおなり修司・なぞなぞ文/高畠純・絵 なぞなぞの面白さと絵本の面白さが合体!
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