- 戸田:
- 有川さん、今日もよろしくお願いいたします。
- 有川:
- こちらこそよろしくお願いします。
- 戸田:
- 今日はどんなお話ですか。
- 有川:
- 「絵本を読んでもらって、子どもに物事を想像する力がつくか、否か」という話です。
- 戸田:
- はい。
- 有川:
- 「想像する」を調べてみたら、「思いやること」と出ていました。「想像することは、思いやることにつながるのか」と思いました。
ところが絵本の場合、文章に絵がカラーで付いています。ですから、想像するという方向にいきにくくなる可能性もあります。というのは、起承転結が明確な文に丁寧で説明的な絵がついている。そういった絵本を読んでもらって子どもの想像力が動きだすでしょうか。良かれと思ってやってきたのに、子どもに受け身の癖がついてしまうのではないでしょうか。 - 戸田:
- なるほど。
- 有川:
- そうならないためには何が必要か。
「作家が51%、残りの49%を読者。その作者と読者が共に作っていくという形にしなければならない」。
こう言ったのは、五味太郎さんです。
「ま、オレが作家だから1%くらいオレのほうが多いんだよ(笑)」と。 - 戸田:
- (笑)。
- 有川:
- おおなり修司さんと丸山誠司さんの『ふんがふんが』にも同じことが言えるんです。
- 戸田:
- 出来ましたね!
- 有川:
- 出来ました。この絵本、とにかく最初から最後まで文は、ほとんど「ふんが ふんが」です(笑)。
- 戸田:
- (笑)。
- 有川:
- それなのに、ちゃんとストーリーが浮かび上がってくるんです。浮かび上がらせているのは読者、もしかすると読者が51%かもしれません。
『ふんがふんが』を読む、あるいは読んでもらうと読者は必然的に想像する側にまわることになります。想像力はこうやって生まれでるのかもしれない。そんな気になる絵本です。 - 戸田:
- ええ。
- 有川:
- 「アタリをつける」ということですね。「こうであろう」と予測する。なんとなくストーリーが浮かび上がってくる。そのことがこの絵本を見ていただければわかると思います。
札幌三省堂書店の方が「読む側の想像力をかきたてる絵本ですね」と、甲府朗月堂書店の代表者は「想像力を育む絵本ですね」と言ってくださいました。 - 戸田:
- 本当にうれしいですね。
- 有川:
- そうなんです。絵本から想像力を生み出すというのは難しいことなのに。
- 戸田:
- ええ。
- 有川:
- 子どもたちには想像力、つまり思いやる力をつけてほしいし、読書が趣味になってくれるとうれしい、と思っているところに、この『ふんがふんが』でしょう(笑)。想像する力がクセになれば、読書が趣味になるのも目の前です。
リズミカルでユーモラス、そのうえ想像力が駆け足で湧き起こってきます。いいですよ、この『ふんがふんが』。 - 戸田:
- ふんがふんが旋風が巻き起こるといいですね!
- 有川:
- いいですねー(笑)。今の人にはわからないでしょうが、岡本太郎風に言えば「想像力の爆発」です。
こんな絵本が絵本の主流になってほしいものです。こういう絵本を待っていました!それぐらいうれしくなっています。 - 戸田:
- 私もなんだかうれしいです。
- 有川:
- おおなりさん、よくこんな展開を考え出してくれました。絵の丸山さんも「おおなりさんは、よくこんなことを思いつきますねー」と、感心していました。
- 戸田:
- 丸山さんの絵が、また楽しいですよね。
- 有川:
- まったくです。今までにない描き方をしているんです。背景の葉っぱや花や岩や波などを白い輪郭で描いているんです。それが様式的な美しさというか、落ち着いた印象を与えるので、ゴリラとかヒョウの動きが反対に強く出ているような気がします。静と動、感心しています。
- 戸田:
- 名コンビの最高傑作が出来上がったということですね。
- 有川:
- そのとおりです。
- 戸田:
- 有川さん、今日はいつも以上にうれしいお話でした。
- 有川:
- 僕もうれしいです。
- 戸田:
- ありがとうございました。
- 有川:
- こちらこそ、ありがとうございました。
- 戸田:
- 絵本館代表の有川裕俊さんでした。
おおなり修司さんと丸山誠司さんの『ふんがふんが』、本当に楽しみです。- そして、絵本館はこの他にも楽しい絵本がたくさんあります。9月の新刊をひとつご紹介させていただきますね。こちらも名コンビ、内田麟太郎さんと高畠純さんのナンセンス絵本『そうなのよ』。
- 内田麟太郎さんからのメッセージです。
なんとなく ぼんやりしていたら
なんとなく へんな話が書きたくなった
へんな話を書いたら
へんな高畠純さんが絵を描いてくださった
絵本を見ながらにやにやしていたら犬のたま子が“おかしい おかしい”と大わらいした
猫のハチ公も“そうなのよ そうなのよ”とぼくに手をたたいた
おかしな絵本 そうなのよ
- 高畠純さんからのメッセージです。
かなりヘンです。
大人はわけがわからず“?”がいっぱいになるかもしれません。
でも子どもは……。
ヘンでヘンテコ、そんな絵本が生まれました。
内田麟太郎さんの作、ヘンでおもしろい。
もし、この絵本の続きがあれば、あなたも自由に作れそうな感じになるかもしれません。
絵本を読んで、心が自由になる。
いいね。
- 内田麟太郎さんと高畠純さんの『そうなのよ』。絵本館から好評発売中です。絵本館HPもみてみてくださいね。
(2022.10.11 放送)

ふんがふんが
おおなり修司・文/丸山誠司・絵「ふんが」の3文字のみで語られるゴリラパパの奮闘記。

そうなのよ
内田麟太郎・文/高畠純・絵ナンセンスの力で、頭の中をやわらかくほぐしてください。