- 戸田:
- 有川さん、今日もよろしくお願いいたします。
- 有川:
- こちらこそ、よろしくお願いします。
- 戸田:
- 今日はどんなお話ですか。
- 有川:
- 最近読んで感心した本があるんです。芦田愛菜さんの『まなの本棚』。
- 戸田:
- はい。
- 有川:
- その本に「1つの作品を読んでみたら、その作家との相性がよくて、どんどんその作家の他の本を読んで、いろんな本を読むことになりました」と書いてありました。そうなんですね、問題は相性です。これは本好きの大人なら、みんなやっていることだと思うんです。
- 戸田:
- そうですね。
- 有川:
- だから、子どもの頭の片隅に「あの絵本、好きだったなあ」という思いがあったら、その作家とは相性がいいのですから、その作家の他の絵本も手にとってみる。たとえば『キャベツくん』が好きだったら、長新太さんの他の絵本を読んでみる。『きんぎょがにげた』が好きだったら、五味太郎さんの他の絵本、たとえば『たべたのだあれ』『かくしたのだあれ』を読んでみる。すると、本の世界はどんどん広がっていきます。
- 戸田:
- そうですね。
- 有川:
- 大人になってから分かったことなんですが、好きになった作家の対談集が出ていたら読んでみる。そして、その作家と気が合っているなと感じた対談相手の作品も手にとってみる。またその好きな作家が書評を書いていたら、その書評で取り上げられている本を読んでみる。すると、好きな作家がまた増えていく。そうやってどんどん広がっていくもんです。
- 戸田:
- そうですよねえ!
- 有川:
- だれか一人でも「この作家、好きだなあ」という思いがあるということは、自分との相性がいいということです。考え方の中心はいつも「自分」です。
「名作だから」などと思わず、自分の心が動くか否か。つまり、おもしろいか否か、です。そう思って読んでみると、本の世界は広がっていきます。人も本も大事なのは自分との相性です。 - 戸田:
- その通りだと思います。
- 有川:
- そして「子どもに本好きになってほしい」と思う親御さんにアドバイスです。子どもにおこづかいを渡して、いっしょに本屋さんへ行ってください。そして、子どもも親も好きな本を選ぶ。
ただし、子どもがどんな本を選んでも親は文句を言わない。 - 戸田:
- (笑)。
- 有川:
- 親は「そんな漫画みたいな本はだめ」とか「もっと字の多い本にしなさい」とか、文句をよく言うそうです。本屋さんや図書館員からよく聞く話です(笑)。
- 戸田:
- (笑)。
- 有川:
- 文句を言わず、子どもに選択させる。それを繰り返しているうちに、間違いなく本は好きになります。
100%とは言いませんが、その事例を何人もの人から聞いています。なによりも選んでいるという子どもの心の動きを大切にしてほしいものです。 - 戸田:
- そうですね。
- 有川:
- 「選ぶ」ということが楽しくなったら、もう本を好きになったと思って間違いありません。ぜひ、そういうことを参考にしてお子さんといっしょに本屋さんへ行って、本や絵本を選んでもらえたら嬉しいです。
- 戸田:
- それはいいですね。そして子どもが成長したら、今度は逆に親に教えてくれたりするんです。
「おかあさん、この本おもしろいよ」と、結構貸してもらったりしました。 - 有川:
- それはうらやましい親子関係ですね。僕もそろそろ孫がそういう年齢になっています。たのしみです。
- 戸田:
- そうですねえ。
- 有川:
- くりかえしになりますが、先ほどの芦田愛菜さんの本は、おすすめです。
- 戸田:
- 本当に芦田愛菜ちゃんは、たくさんの本を読んでいますね。
- 有川:
- また、内容の感じがいいんです。「こんなにたくさん読んでいるのよ」という偉そうなところは微塵もないし、高慢な感じもありません。なかなかの人だなと思いました。
- 戸田:
- 読書って、やっぱりいいですね。
- 有川:
- ええ、そうです。おもしろいか、あるいは相性がいいか、そういった気持ちで絵本館の絵本も手にとってみてください(笑)。
- 戸田:
- 絵本館からも新刊が出ていますしね!(笑)。
有川さん、今日もありがとうございました。 - 有川:
- こちらこそ、ありがとうございました。
- 戸田:
- 絵本館代表の有川裕俊さんにお話をお伺いしました。
絵本館からの新刊をひとつご紹介させていただきます。
広瀬克也さんの『ねこ おどる』
- どこからともなく ぞろぞろと
ねこたちあつまり おどりだす
あたりかまわず おどりだす
ニャンニャン ミャンミャン
ねこおどる広瀬克也さんのメッセージをご紹介させていただきます。
ねこがそばにいてくれる。それだけでうれしい。
自由きままな暮らしぶり、見ていてたのしい。
「ちょっとそこ、どいてちょんまげ」「なんでこんな所にいるんだよお」と思いながらも、抗うことなどできない。
ねこがいる暮らしは、本当にいい。
- 広瀬克也さんの新刊『ねこおどる』、とっても楽しい絵本です。ぜひ、お手にとってみてください。
(2019.10.15 放送)
2016年4月からエフエムふくやま「ブック・アンソロジー」に月1回、第2火曜日に出演しております。
インタビュアーは、パーソナリティの戸田雅恵さん。
番組の内容を定期的に掲載しています。なお、ラジオインタビューですので、その時はじめて聴く人もいます。同じような話が2度3度出てくることがあります。ご了承ください。
インタビュアーは、パーソナリティの戸田雅恵さん。
番組の内容を定期的に掲載しています。なお、ラジオインタビューですので、その時はじめて聴く人もいます。同じような話が2度3度出てくることがあります。ご了承ください。
ねこ おどる
猫好きにはたまらにゃい絵本です!