第23回「子どもと大人の境目」

戸田:

有川さん、今日もよろしくお願いいたします。

有川:

はい、よろしくお願いします。

戸田:

今日の「こんな絵本作家に出会いました」は、もう一度高畠純さんですね。

有川:

ええ。まだいい足りないことがあったものですから。

戸田:

ぜひよろしくお願いいたします。

有川:

高畠さんは、僕と同い年。初めて会ったのがお互い29歳の時でした。人間、相性というものがありますが、僕の場合、「あの人ともう一度お酒を飲みたいな」と思った人は、だいたい相性がいいということになります。

戸田:

なるほどね。

有川:

高畠さんとは相性はかなりいいので、しょっちゅう一緒に飲んでいます(笑)。お住まいの岐阜に行くのがとても楽しみです。

戸田:

そうなんですね。

有川:

相性というのは、「ああいう人になれたらいいな」という思いがどこかに潜んでいると思うんです。

戸田:

有川さんは「高畠さんは本当に優しい方なんだ」とおっしゃっていました。

有川:

そうです。絵本も描いていただくと、出版社は印税というものを作家に支払わなければいけない訳ですが、高畠さんは「有川さん、印税なんてどうでもいいから、倒産だけはしないでね」って(笑)。絵本館をはじめてからずいぶん長いこと倒産しそうでしたから、今でもかな?
初期の『さんさんさん』(五味太郎・作)には絵本としてはめずらしい「とうさん」というフレーズがあり「ドキッ」としました。

戸田:

(笑)。

有川:

「倒産だけはしないでね」と言ってくださった高畠さんの言葉が、忘れられません。
高畠さんに僕が「いろんな出版社があるけれど、絵本館はユーモアという大きな柱があるんです」と言ったら、「もうひとつあるよ」と言って「作家が自由に絵本をつくる。作家性が一番高い出版社が絵本館だと思っているんだ」と言ってくださったんです。とてもうれしかったです。
作家の方がのびのびと気持ちよく描いて(書いて)くだされば、何人かの人が、子どもでも大人にしても「おもしろい!」「いいね」と言ってくださるだろうと思ってやってきました。
このことは日本でも外国でも同じだとおもいます。高畠さんがイギリスで『おとうさんのえほん』を小学校2〜4年生400人ぐらいにスライドで読んだら、大笑いや拍手で大変なもりあがりになったそうです。イギリスの子どもはおもしろくないとブーイングや前のイスをけったり平気でするそうです。にもかかわらずの大歓声。高畠さんも感激したそうです。

戸田:

おもしろいはなしですね。


高畠純『おとうさんのえほん』

有川:

絵本も、ちょっと省略や飛躍があるために読者は絵本の中でいったりきたりする。それがいい。読者が自分なりにいろいろ考えたりする余地を残している絵本、それを楽しめるようになったら、シメタものじゃないかとおもうんです。それこそが読書の楽しみでもあります。
そしたら、1200円はちょっと安いでしょう。

戸田:

そうですね。
高畠さんと有川さんは、同い年ということですが、お二人とも少年の心をずっと持っていらっしゃいますね。

有川:

少年の心といえば、雪が降ったら喜ぶ人がいるでしょう。ほとんどの絵本作家の人は、雪が降ると喜ぶようです。

戸田:

(笑)。

有川:

僕は、子どもから大人になる境目はどこだろうと、ずっと考えていたんですけれど、雪が降ったら喜ぶのが子どもだなと思って(笑)。

戸田:

(笑)。

有川:

雪が降ってきて「困ったな」と思うのは、大人ですね。

戸田:

そうですねえ。

有川:

五味太郎さんや高畠純さんや、何人かの絵本作家に聞いてみたんです。そしたら、みんな「え、うれしくないの?」と言っていました(笑)。

戸田:

(笑)。
次回も「こんな絵本作家と出会いました」を、楽しみにしています。

有川:

はい、どうぞよろしくお願いします。

戸田:

今日もありがとうございました。絵本館代表の有川裕俊さんにお話をお伺いしました。
(2018.2.13 放送)
2016年4月からエフエムふくやま「ブック・アンソロジー」に月1回、第2火曜日に出演しております。
インタビュアーは、パーソナリティの戸田雅恵さん。
番組の内容を定期的に掲載していきます。なお、ラジオインタビューですので、その時はじめて聴く人もいます。同じような話が2度3度出てくることがあります。ご了承ください。
おとうさんのえほん
高畠純・作 いろんな動物のおとうさんが登場!
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