今回は『なぞなぞはじまるよ』についてお話します。
なぞなぞは、おおなり修司さん、絵は高畠純さんです。
高畠純さんは「なぞなぞは“なぞなぞと答え”だけなら、なぞなぞの小冊子で事足りる。絵本にするなら、絵本ならではのおもしろ味がなければ」と言っています。ですから、この『なぞなぞはじまるよ』は、絵本ならではのおもしろ味のある「なぞなぞ絵本」に仕上がっています。
では、「絵本ならではのおもしろ味」とは、なんでしょう。
「なぞなぞ」が2つあります。やってみてください。
どうです、わかりますか。
「なぞなぞ」の絵に、ヒントが隠されています。どこか少しいたずら心のある絵です。
絵を見るだけでなく絵を見ながら考える。つまり、絵を読むこと、これが「絵本ならではのおもしろ味」です。
すぐれた絵本作家は、いつも読む人が次のページをめくりたくなるような仕掛けを考えています。
おおなりさんの「なぞなぞ」に、高畠さんが、次のページをめくりたくなるようなヒントが隠されている絵を描いている。
ここが絵本ならではの「なぞなぞ絵本」になっている理由です。
この絵本について、読者の方からお便りをいただきました。送り主は、デイサービスや保育園へ紙芝居や絵本を持って訪問されている方でした。楽しい「なぞなぞの絵本」をずっと探していたそうです。
出会えたのです。とっても楽しい絵本『なぞなぞはじまるよ』に!デイサービスでも保育園でも、絵を見ながら考えることのできる“なぞなぞの本”ということで、デイサービスのお年寄りにも保育園の子どもたちにも、どちらにも大受けです。
“これは小さい子には無理かな”と思う問いにも子どもはとても鋭く答えます、ビックリです。
どちらかと言うと大人のほうが頭が堅いですね。
このお便りからも「絵を見ながら考える」ということがどんなに楽しいことなのかわかります。
そしてその楽しみに、年齢は関係ないということもわかります。
この絵本『なぞなぞはじまるよ』の魅力は、読者が参加しながら楽しめるというところです。
いつもは絵本を読んでもらうだけ、どちらかというと受け身になりがちな読者も、絵本に参加する。自分の頭が動きだしているのを感じることでしょう。絵を読み、考えながらページをめくる。ヒントを見つけてニヤリとする。
「なんだろう?」「当たった!」と楽しむ。
そんなふうに一生懸命考えている時、読者の前頭葉は活発に動いているのだと思います。絵を見ながら考え想像する。すると知らず知らずのうちに、頭のトレーニングをしているのかもしれません。
この『なぞなぞはじまるよ』を手にとったら、どうぞ隅から隅まで見てください。
そして、絵を読んでください。
ヒントが隠れていますから考えてください。
そうすれば、あなたの絵本の楽しみ方は大きく広がるでしょう。
間違いありません。
最後に2つ「なぞなぞ」を出します。
やってみてください。
*通常絵本は24、28、32ページです。この『なぞなぞはじまるよ』は64ページもあります。ちょっと贅沢です。