正直が楽

子どもの頃の思い出を聞かせてください。

子どもの頃の思い出のシーンには自分の姿がシルエットで入っているのがおもしろいね。
鹿児島市から田舎に向かう汽車からの景色も、窓のところにいる自分、そして海と桜島という具合に全部が見える。
自分だけはシルエットだけど。
田舎では祖母と一緒に川へ洗濯に行っていた。
家が高台にあって井戸が深くて水をあげるのが大変なので、洗濯は川でしていた。
子どものとき川で洗濯をしていたんだから、桃太郎はかなり身近なかんじです。
祖母のそばで足をパチャパチャやりながら遊んでいるようすも、自分だけは曖昧な映像でそれ以外の景色はクッキリと上から見える。
子どもの頃のことは、いいことばかりを覚えてるもんだね。
嫌なときのことはあまり覚えていないけど、ひとつだけ身が凍る思い出がある。
祖父の家は農家で農薬を散布するボンベがあった。
なんとなくあそんでいたら農薬が霧状に出てしまって、洗って干してあった茶碗にすこしかかったんじゃないかなと心配になった。
そのことを言い出しかねていたら、ついにお昼ご飯になってしまった。
僕は死んでもいいと思ったけど、一族がみんな農薬で死んでしまったらどうしようと、あれほど怯えてお昼ご飯を食べたことはなかったな。
自分だけ生き残るなんて恐ろしかったから食べないわけにいかなかった。
あの1時間くらいの心の葛藤は忘れることができない。
「正直に早く言わないと大変なことになることがあるな」ということを肝に銘じた一日だった。

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