生と死を描く

佐野洋子さんの絵本が好きです。

佐野洋子さんは絵本で生と死ということを、ずっと書いている人だね。
宗教的であり、輪廻思想的なものを感じる。
思想なんていうと佐野さんは嫌がるかもしれないけど、そういう部分がある。
宗教的とか思想なんていうより原始的な生命力にたいする信頼というか憧れのようなものを、佐野さんには感じるね。
だめになったものが再生されるという話を多く描いている。
物であったり動物であったり、人であったり、いろいろだけどみな蘇る。こういうことを表現するのに絵本はむいているね。
傘であったり、猫だったり、切り倒された木であったり、95才のおばあさんであったり、すべて蘇る。
生命というものがずっと永続的に続いていると考えられていているのかなあ。
そういう考えを持ちたいと思ってるのかな。
エッセイにも書いているけど、仲のいいお兄さんを小さい時に亡くされているから、「ただ消滅したんだとは絶対思ってやらないからな」。
そんな強い意志を感じる。
いい妹なんだな。
そんな佐野洋子さんの強靱さと情と深さが少し怖いけれども好きです。
生と死を描いて、子どもが読んでも、おとなが読んでも、おもぐるしい気分にさせることなく、たんたんと力強く、そんな絵本を描くのだから大した手腕だと思う。

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