- 戸田:
- 有川さん、今日もよろしくお願いいたします。
- 有川:
- こちらこそよろしくお願いします。
- 戸田:
- 今日はどんなお話ですか。
- 有川:
- この前、印刷会社の営業の人と話をしていたときに「有川さん、どうしてこんなにたくさんの本が部屋にあるんですか。どうやって選んでいるんですか。私は本を全然読まないので、どうやって本を選んだらよいのか、わからないんです。」と。この人、実に素直で気持ちのいい人なんです。
- 戸田:
- ええ。
- 有川:
- そう言われれば、そうかもしれないと思いました。
たとえば「ユーモア」とか「酒」などテーマ別に何人かの作者が文章を寄せている本があります。“アンソロジー”ともいいます。 - 戸田:
- はい。
- 有川:
- そういったアンソロジー本を図書館や書店で見つけてきて読んでみる。すると、なんとなく自分と響き合う文章に出会うことがあります。つまり、その文章はあなたと相性がいいわけです。
- 戸田:
- ええ。
- 有川:
- そうしたら、その作者の他の本を手にとってみてください。すると、本の世界はどんどん広がっていくと思います。なにより大切にしたいのは、あなたとその作者との相性です。もともと自分に備わった相性を信じましょう。
- 戸田:
- そうですね。
- 有川:
- その作者が対談集を出していたら、その対談相手の本を手にしてみるのもいいと思います。また、その作者が書評などで褒めている本があったら、その褒められている人の作品も手にとってみる。
- 戸田:
- ええ。
- 有川:
- そうやっていると、本の世界はどんどん広がっていくものです。「僕はそうやったよ」と話をしました。
- 戸田:
- なるほど、そうですね。
- 有川:
- 書評と言えば、先日、南伸坊さんからメールをもらったんです。「大掃除をしていたら、丸山誠司さんの『ノブーナガ』が出て来て読んだら、“これは傑作じゃないか!”と思った」というメールです。
- 戸田:
- (笑)。おもしろいですよね。
- 有川:
- 最初読んだときはそうでもなかったのに、読み直したらおもしろかった。ということは、あれだけたくさんの本を装丁・デザインされている南さんでも、最初はピンとこないことがある訳ですよね。そして、これは本のことだけではなく、音楽でも映画でも同じようなことがいくらもあります。
- 戸田:
- そうですよね。
- 有川:
- この『ノブーナガ』は、まあ、ふざけた絵本なんですよ(笑)。南さんは「推薦文を書かせてください」と言ってくださって。
- 戸田:
- それは嬉しいですねえ!
- 有川:
- とても嬉しいです。作者の丸山さんも大喜びでした。
- 戸田:
- そうでしょうね!
- 有川:
- 3人のポルトガル人が「ガイコクからきました。よろしくおねがいします」と言うと、ノブーナガが「とおいところからようきてくれた。ちこうちこう。くるしゅうない」とか言うんですが、これがほとんど名古屋弁(尾張弁)で進行していくんです。南さんも「あ、これいいね。おもしろいね」と響いたんでしょう。
- 戸田:
- そうですね。
- 有川:
- 本を楽しむ、映画を楽しむ、音楽を聴いて嬉しくなっちゃう、美味しいものを食べてニコニコ顔になるということも、生きていることを実感する瞬間ということではないでしょうか。
- 戸田:
- 本当にそう思います。
- 有川:
- 絵本も同じです。その瞬間を楽しむためにあるのではないでしょうか。
- 戸田:
- そうですね。
南さんが、どんな推薦文を書いてくださるか楽しみです。 - 有川:
- そうですね、その推薦文をまたご紹介します。
- 戸田:
- ぜひ、お願いします。私も『ノブーナガ』、大好きなんです。
- 有川:
- その続編というわけではないのですが、丸山さんと『ひでよーし』という絵本の制作に今とりかかっています(笑)。
- 戸田:
- そうなんですか!すごく楽しみに待っています(笑)。
- 有川:
- なにしろふざけた話ばかり考える丸山さんなので、楽しみにしていてください。
- 戸田:
- はい。
- 有川:
- 南さんのように、ふざけたことが楽しくなっちゃうような能力を持っている人はいいですよね。
- 戸田:
- でも、それってすごく大事かもしれませんね。
- 有川:
- ええ、とても大事です。その人が持って生まれた大切な能力のひとつだと思います。
- 戸田:
- 確かに魅力的ですよね。
- 有川:
- そうです。ふざけたことが楽しくなる人は、そのふざけたことを自分のなかで膨らませる能力を持っているということです。
- 戸田:
- なるほど、そうですね。有川さん、今日も楽しいお話をありがとうございました。また来月もよろしくお願いします。
- 有川:
- こちらこそ、よろしくお願いします。
- 戸田:
- 絵本館代表の有川裕俊さんでした。
(2022.5.10 放送)
南伸坊 おすすめの本『ノブーナガ』
オモシロくてすばらしい
『ノブーナガ』は、織田信長とガイコクからきたルーカス、ブルーノ、アントニーオの出会うお話です。すごくオモシロイ。お話もたのしいし、絵がとってもイイ。何度でも読んですみずみまでたのしめるようになってます。
作者の丸山さんがすみずみまで、たのしんで絵を描いて、たのしんでお話をつくってます。何度読んでもおもしろい。それで、こどもがよろこんでオモシロがったことが、おとなになってタメになる絵本です。すばらしいです。
ノブーナガ
丸山誠司・作あっぱれ 武将絵本の登場です!
ひでよーし
丸山誠司・作あっぱれ 武将絵本 第二弾!