第61回「へだてなく」

戸田:

有川さん、今日もよろしくお願いいたします。

有川:

こちらこそ、よろしくお願いします。

戸田:

今日はどんなお話ですか。

有川:

最近、眞理ヨシコさんという方と50年ぶりくらいにお話する機会がありました。眞理さんは『おもちゃのチャチャチャ』などを歌ったNHKの初代うたのおねえさんです。因みに『おもちゃのチャチャチャ』の作詞は野坂昭如さん。

戸田:

ええ。
エラー - NHK
有川:

神崎ゆう子さん(NHK「おかあさんといっしょ」第16代うたのおねえさん)が、たまたま絵本館に訪ねていらして、眞理さんと知り合いだとのこと。僕がFM東京で仕事をしていた頃、眞理ヨシコさんが『音楽の花束』という番組をもたれていて、その時にいろいろお世話になりました。僕のような下っ端にも、ごく普通に平らかに接してくださって、心に残る忘れられない人でした。

戸田:

そうだったんですね。
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有川:

でも、僕のことは記憶にないだろうと思っていたんですが、神崎さんが眞理さんに連絡してみたら「覚えている」と言ってくださっているとのことなので、お電話したんです。
なにしろ声が50年ぶりとは思えないほど、変わっていないんです。50年が一瞬のうちに蘇ってきました。

戸田:

素敵ですね!

有川:

FM東京にいた頃、下っ端の僕たちに普通に接してくださるめずらしい人だったのが、女性では眞理ヨシコさん、男性では小林克也さんです。

戸田:

まあ、そうなんですね。

有川:

小林さんもとてもフラットな感じで、下っ端の我々を温かくみてくださっていたんです。そういうことは、ずっと忘れられませんね。

戸田:

それは、とても嬉しいお話です!
小林克也さんは福山ご出身のかたで、今、エフエム福山でも小林さんのお声でCMも流れています。いいお話を聞かせていただいて嬉しいです。

有川:

昔読んだ『わたしの渡世日記』という高峰秀子さんの本があります。これはもう名著です。とても記憶に残っています。

戸田:

ええ。

有川:

いろいろな物を宅急便の人が届けてくれるでしょう。暑い夏の盛りには、汗ダラダラで大変です。高峰さんは、冷やした小さなペットボトルを準備してさしあげているそうです。また、冬は冬で温かいものを。

戸田:

それは嬉しいでしょうね。

有川:

そういった心の持ちようが、とてもすずやかでいいですね。有名な女優さんですから、配達の人もピンポンと鳴らすとご本人が出ていらして、はじめはビックリしたでしょう。なのに誰にでも気持ちよく接することができるというのは、人として大変得がたい資質だと思います。

戸田:

そうですよね。

有川:

できるようで、なかなかできない事です。なによりも心をたいらかに気持ちよく生活できたら一番いいですね。

戸田:

そうですね。有川さん、私も高峰さんの本を読んでみたいです。もう一度タイトルを教えていただけますか。

有川:

ぜひ読んでください。高峰秀子さんの『わたしの渡世日記』。実に名文です。リズム感があり、勢いもあって、ユーモアもある自伝です。とかく自伝というのは難しいものです。自慢話にならないように、と言って卑下しすぎては反対にイヤラシくなってしまう。そこの絶妙なところをバランスよく筆を進めていかなければならない。そこが見事なんです。

戸田:

そうですか、さっそく読ませていただきます。
有川さん、今日も興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。また次回も楽しみにしています。

有川:

はい。どうぞよろしくお願いします。

戸田:

絵本館代表の有川裕俊さんにお話をお伺いしました。

うれしいお知らせがあります。福山出身の絵本作家、おおなり修司さんの『福助はみた』が第12回ようちえん絵本大賞を受賞しました。今年最初の放送に、おおなり修司さんが出てくださって『福助はみた』のご紹介をしていただいたので、すごく嬉しいです。今、受賞を記念して絵本館のHPでは、どなたでも『福助はみた』折り紙をどなたでもダウンロードしていただけます。プリントアウトしてお楽しみくださいね。
そして、おおなり修司さん・文/きむらよしおさん・絵『福助はみた』を、ぜひお手にとってみてください。

(2021.5.11 放送)
2016年4月からエフエムふくやま「ブック・アンソロジー」に月1回、第2火曜日に出演しております。
インタビュアーは、パーソナリティの戸田雅恵さん。
番組の内容を定期的に掲載しています。
「福助はみた」が第12回ようちえん絵本大賞を受賞
おおなりさんときむらさんから受賞コメントが届きました!
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