絵本館、いいでしょう?

絵本館。
いい名前ですね、とよくいわれます。ぼくもそう思っています。
まず、何の出版社だかすぐ判る。それに、なにより響きがいい。
(勿論、わたしの主観ですが、そうおもうでしょう。)
この絵本館の名付け親は斯くいう、わたくしです。
それで、わたしは自分のことをエライと思っています。
まあ、これは誰もそういってくれないので自分でいっているだけなんですが。
でも、本当にエライのは絵本館の絵本、実に絵本館の絵本たちはエライ。
どのくらいエライのかを、五味太郎さんが俳句について語っている文章をおかりして、俳句ということばのところを絵本と読み替えてみますと、よく分ります。

俳句(絵本)って『説明しない』『言い訳しない』『ただ言い切っている』丁寧でありながら実にシンプル。
くよくよなんていうものとは無縁。
うん、そういうのいいな、惚れちゃうぜ、という感じ」「ごく限られたもののいい方で、かえって物事のバックグランドを広大に見せてくれる特質。
切りつめた表現からうんと多様な解釈が成り立つようなしくみ」。
だから俳句(絵本)は「個人の感じ方を一切否定しない」し、作者は「作品についてはこまごま説明する意志はない。
勝手にわかってふくらませればいいよ、という感じだね。

絵本館の絵本たちはこういった俳句のような絵本なのです。
こんな雅びやかな絵本のたのしみをひんまげてしまったのはだれだったのでしょう?
まあ、アセラズ、ユックリでしょうか。
それでは、ぼくのすきな五味さんの俳句を皆さんへプレゼントとして。

傾きた地軸に沿うて眠るかな
写真機の如く枯野に佇みて
(五味太郎『俳句プラスアルファ・象』絵本館刊)

タイトルとURLをコピーしました