佐々木マキさんとビール

佐々木マキさんのところへ伺ってきました。
いつも思うことだけど、新幹線の冷房というのはどうして、あんなに寒いのだろう。
車掌はネクタイを締めて上着を着て、おまけに動き回っている。
半袖の乗客が寒いの当り前だよね。
車掌はもっと身軽な恰好でちょうどいいのではないでしょうか。
冷房が好きな人嫌いな人がいるのだから、車両ごとに冷房の強弱をつけるサービスを考えてほしいね。
台風がきてるというので傘を持っていきました。
関ヶ原あたりではかなり降っていたのに、京都に着いたら、ただただ蒸し暑く晴れていました。

25年前、はじめて伏見の佐々木さんのお宅にお邪魔したときのことを思いだした。
その日も、とても暑い日で、佐々木さんが「どうぞどうぞ」とビールを出してくれてね。
「へえー、絵本作家は昼間からビール飲むんだ」と、うれしくなって2人でどんどん飲みました。
でも、これには後日談があって、ずいぶんたってから「あのときは、うれしくどんどん飲みましたねえ」と話したんです。
そしたら佐々木さんが「いやあ、それまでは貧乏で、ビールはアルコールのなかでも割高だから、家庭でもあまり飲めなかったんですよ。
やっと買えるようになってうれしくて、有川さんが来たときに昼間からビールのんだんですよ」と聞いて、よけいそのときのことが印象に残っています。
そのビールをのんだ日に、佐々木さんが「有川さん、これからどこへ行くんですか?」と聞くので、 「大阪から、神戸へ行って…」と答えると、 「1日にいくつも仕事しちゃいけませんよ」と言われたのも印象深く覚えています。

昔の人だったら、横浜におつかいに出かけたら、それだけで日が暮れて1日の用事を終えたことになる。
電気のない時代、暗くなれば仕事はできない。
サービス残業などという残酷で不粋なことなどなかった。
のんびり、ゆっくり時が流れていたわけです。
寿命は長くなったのに時間はない。
いち日も、ひと月もだんだん短くなるというのは、どんどん予定を入れるから。
予定をいれるということは将来を現在にたぐりよせることです。
1年があっという間にすぎさる訳です。
スケジュール帳が埋まってないと落ち着きが悪くなったら、人間おしまい、というかつまらないですね。

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