「絵本館はユーモラスな絵本が多いですね」と言われます…。
たまたまそういうことになったけど、洒落とかユーモアを欲しているところがあったんだね。
母方の祖父がおもしろい人で、その祖父のことが好きだったから、かなり影響をうけたと思う。
千代子という名前の叔母がいて、祖父からすれば娘だよね。
叔母が子どものとき、祖父が「チヨコ! チヨコ!」と大きな声で呼ぶから、千代ちゃんは急いで行って「なあに?」ときくと「?」という顔をするんだって。
「呼んでいたでしょ」と言うと「いや、おれは『ヒヨコ、ヒヨコ』と言ってひよこを呼んでいたんだ」とわらいながら言うんだって。
そんな祖父だった。
おとなが子どもをからかうというのも余裕があるということだよね。
子どもはからかわれることに結構わくわくするし、頭をつかう。
とんちばなしが好きなようにね。
子どもの頭を活発にしたければ、おとなはすべからく、子どもをからかうのが得策だとおもう。
「ああしなさい、こうしなさい」と、ただ導くというやり方に、子どもたちはもううんざりしてる。
ユーモラスな絵本だけを出そうという志を立てたわけじゃない。
いま考えると、そういうのが好きだったんだね。