読売新聞 ー明日へー

3月25日の読売新聞夕刊2面で、絵本館代表 有川裕俊が紹介されました!

明日へ 絵本を広める 5

「出版社名の五十音順に並べてある絵本を、テーマ別や作家別へ替えれば、読みたい本がもっと探しやすくなる」
児童書出版社「絵本館」(東京・杉並区)社長の有川裕俊さん(60)は、全国の書店や図書館を回り、こんな書棚作りを広めている。
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在京のラジオ局で音楽番組を制作していた有川さんは、「好きな本にかかわる仕事を」と、29歳の時に出版社を設立。絵本を買っては読み、会ってくれる絵本作家を次々と訪ねた。
中でも五味太郎さん(63)に会い、「子どもの想像力をかき立て、なおかつ大人が見ても面白い、今までにない絵本を作れそうだ」と思った。代表作の一つ『さる・るるる』は、韻をふんだリズミカルな言葉と簡潔な絵でサルの様々な表情や動きを描く。笑いを誘い、声に出して読みたくなる絵本だ。
こうした本を刊行するうち、他の出版社もユーモラスな絵本を出版するように。そこで、5社共同の「ユーモア絵本フェア」を書籍の大手取次店に働きかけたところ、予想以上の売り上げになった。テーマ別販売の有効性を実感した。
さらに「ユーモア」「おばけ」「うんち・おしっこ・おなら」など、テーマ別の絵本リストや、棚に張るシールなども作った。これらを活用し、テーマ別の棚を設ける図書館が増えている。
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「書店にとって、出版社別に書籍を並べるのが、一番管理しやすい」。
こう語るのは、東京・有隣堂(ゆうりんどう)八王子店の吉澤みどりさん(44)。「でも、お客様にとってそんな絵本の棚は楽しいのだろうかという疑問が常にある。何か面白い発見ができる、と思っていただけるような書棚やブックフェアを心がけている」。
有川さんの提案で今月7日まで開いた「ユーモア絵本」のフェアは、声を上げて笑いあう親子が目立つなど好評だった。
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「子どもたちが、好きな作家やテーマを見つけたら、どんどん絵本の世界が広がっていく。それができる環境作りをこれからも進めたい」と有川さん。
かつてインタビューした心理学者の河合隼雄さんが語っていた言葉が今でも胸に残っている。「面白くなければ、次の本を読もうという気持ちになれない」このメッセージをかみしめながら、絵本作りを進めている。(おわり)
このシリーズは文化部・鳥居晴美が担当しました。

2009年3月25日読売新聞夕刊より
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