飯野和好「長新太さんと出会って」

追悼 長新太

飯野和好私がまだ新米のイラストレーターで、ウロウロしていた頃、話の特集や詩の本や、いろいろな場所で、長さんは大きな大きな、それこそどんどんふくらんでいくゴムまりの様な存在で、コマ漫画を見てはびっくりし、絵本を見てはため息をついたのだった。

もう、長さんを追いかけて行くんだ!どこまでも、と。私は決心したのだった。

長さんがユラユラした線を描いたら、じーっと見て、どうしてこんなにユラユラしていて気持ちいいんだろう?と深く想ってみたり。
あれーっ?この色使いは何なんだ!とまたまた心の細かった私は、びっくりぎょうてんしてしばらくは宙に浮いていたものだった。

長さんの作品は皆、面白シュールアートなのだ。

パーティー会場などで、長さんが佇んでいると、すーっと近寄って行って横に並んで立ったりして、私はもうそれだけで嬉しかったのだった。

飯野和好さんが選ぶ 長新太さんの絵本3冊

1.『つきよ』教育画劇♦1986年

2.『ちへいせんのみえるところ』ビリケン出版♦1998年

3.『ノコギリザメのなみだ』フレーベル館♦1999年