何といっても長 新太さんの絵の魅力である。
あんなにノビノビして、でも乱暴でなく、まったくホレボレしてしまう。
学生の頃、初めて長 新太さんの絵本を買ったのは『ぴかくんめをまわす』だった。
長 新太さんの絵に魅かれて買った。
大胆な構図とやけに細かい絵、それに遊び心の神経。
その絵本の中に出てくる車はフォルクスワーゲン(昔のかぶと虫型)、シトローエン、それに白バイ、バスなど。
サラリと描いていそうだけど、すごくリアリティがある。
バスの後ろの看板に「どうぶつえんであそびましょう」の文字。
看板の絵は象。
象はやたらニコニコしている。
そうか、今思えばこういう遊んだ雰囲気が、一番ぼくは影響を受けているのかもしれない。
長 新太さんの作の絵本も格別である。
とんでもない絵本のおもしろさ。
こんな絵本があっていいのかと思わせるくらいいつも楽しませ、感じさせてくれた絵本の数々。
長 新太さんが亡くなって、もう長 新太さんの新しい絵本は見られないんだと思うと淋しくなった。
新作が出るたび、こんどはどんなのと、いつも創作の無限のエネルギーを感じていたのに…。
たくさんの子ども、絵本作家を目指す人たちにいっぱい影響を与えてくれた長 新太さん、ありがとうございました。
高畠 純さんが選ぶ 長新太さんの絵本3冊
- 1.『つきよのかいじゅう』佼成出版社♦1990年
- ほんとにバカバカしい絵本で、とっても好きだ。
- 2.『なにをたべたかわかる?』絵本館♦2003年
- ページをめくるたびにどんどんひきつけられる絵本。長 新太さんの絵本はみんなそうだけど。
- 3.『いたずらラッコのロッコ』(神沢利子・作)あかね書房♦1968年
- 童話のイラストである。
この本に限らず長 新太さんの童話のイラストは全て魅力がある。力みではなく、肩の力を抜くとはこういうことかなと思う。
…他に『キャベツくん』とか『もしもし』とか。