長さんのことを思い出すと、お空にぽっかり人間の脳が浮かんでくる。
人間の脳には、動物的な古い脳と、知的な仕事をする新しい脳があるらしい。
そして赤ちゃんの無邪気な笑いは、この古い脳の動きなんだそうだ。
なるほど、そういえば知的に笑う赤ちゃんなんて不気味である。
長さんの絵本に笑う私は、きっと赤ちゃんになっているのにちがいない。
くすぐられるようなここちよさ。
むろん長さんの笑いには諧謔も風刺もあることは知っている。
でも、それだけだったら、長さんは天才だったのかしら。
まじめで誠実で知的な絵本作家はいっぱいいるーように思う。
言葉を変えればまだ赤ちゃんの脳までは届いていない絵。
長さんの絵を見ていると、「知なんてどうでもいいなあ」と思えてくる。
それよりも赤ちゃんに笑ってもらいたい。
そこへ行けたらなあ。
あこがれの人です。
内田麟太郎さんが選ぶ 長新太さんの絵本3冊
- 1.『つきよ』教育画劇♦1986年
- しずかなナンセンスもあるんだよ。
- 2.『ちへいせんのみえるところ』ビリケン出版♦1998年
- 絵とことばの美しい関係。
- 3.『つきよのかいじゅう』佼成出版社♦1990年
- あはははは。